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2007年05月31日

富士五湖シンプル系【西湖テント村】

富士五湖シンプル系【西湖テント村】


妖怪・鵺(ぬえ)に出会えるキャンプ場


山中で過ごしていると、わりと日常的に妖怪と遭遇することができます。特に奇妙な出来事と遭遇する確率が高いのが黒部の源流近く。薬師沢と黒部川が出合う場所にある“カベッケが原”と呼ばれる場所。かつては秘境とされていて、山慣れた人でも数日を要する場所でした。実際に黒部川を源流まで遡行し、ここでビバークしたとき非常に奇妙な体験をしました。

まあ、妖怪などと大仰に言いましたが、その原因の多くはわかっています。わかってはいるのですが、これを山中で体験すると、やはりぞくっと鳥肌立ちます・・・

中でもよく遭遇するのが、“姑獲鳥(うぶめ、うぐめ)”と“鵺(ぬえ)”。これらは江戸時代から遭遇した人も多いようで、文献にも少なからず出てきます。

夜更けに川近くを歩くと赤ん坊の泣き声が聞こえてきて、両足がもつれる・・・というのは姑獲鳥の仕業で、このようなときには履いている草履を声の聞こえるほうに投げ「これがお前の親だ」と言うと泣き止むのだといわれています。

姑獲鳥とされる赤子の泣き声の主は、お産のときに母親といっしょに亡くなった赤ん坊です。普通、小児の幽霊は甚だ稀で、定説では心霊力が弱くあの世の支配霊の手に養育されるためこの世に迷い出ることはない、とされていますが母子共に亡くなった場合は話が違って、成仏できずにいる亡母の支配下にあると考えられたため、先の姑獲鳥のように母親とセットになって語られることになったらしいのです。

ずいぶん前の事。これは奥多摩の山中で実際にあった出来事です。

所轄の警察に「山中に赤ちゃんが捨てられている。はやく救出してほしい」という登山者からの通報が入りました。警官は通報を疑いながらも付近の山小屋主人とともに声の聞こえる場所に出向きました。すると、森の中から・・・

あおぅ・・・あぉー、うわぁーおぅ・・・あおぅ

・・・という赤ん坊の泣き声が。一同は“通報は本当だった”と色めき立ち森に入ろうとしましたが、同行していた山小屋の主人が「あれはアオバトの鳴き声だ」とそれを制したのです。結局、この山中の赤子事件は、アオバトの鳴き声を赤ちゃんと間違えたことが、はっきりと判明し、一件落着したのでした。

アオバトは広葉樹の多い山林に多く生息する鳥で、気味悪いほど嬰児そっくりの声で鳴きます。僕はこの声を、奥多摩の沢筋でビバークしているときに耳にしました。誰もいないはずの山中から“うわぉうー・・・うわぉぅー”と聞こえてくる赤ちゃんの泣き声に、身も凍るような恐怖に全身が鳥肌だったのを今でも覚えています。

アオバトは石を投げると鳴き止むので「草履を投げる」という方法が言われたのだと僕は考えていますが、これだけが姑獲鳥の正体ではないのでしょうね。

そして、気味悪い存在のもうひとつが、“鵺(ぬえ)”です。古い映画の宣伝文句に“鵺の鳴く夜は恐ろしい・・・”というのがありましたが、覚えてますか?鵺とは、つまり姑獲鳥同様に妖怪です。

皆さんは、こんな言い伝えをご存知でしょうか。

山中で口笛を吹くと死霊が寄ってくる
山中では決して笛を吹いてはならない。悪霊がやってくる

これは、陰陽師はじめマタギなど、山中を徘徊する者らの間で交わされている言い伝えです。僕も、かつて奥羽山脈を縦走した際に、何気なく口笛を吹いていて、それを青森の炭焼きの老人から

「魔物が寄ってくるからやめろ!」

と、怒鳴られたことがありました。最初、ものすごい訛りのため、老人が何を言っているのかわからず、ただすごい剣幕で怒っているということだけしかわかりませんでした。同行していた八戸出身の先輩も意味判読に苦労するほどでした。何度も聞き返したため、最後にはその炭焼翁も“やれやれ”という呆れ顔になり、ゆっくりと話してくれて、「口笛をふいちゃならん。魔物がよってくるだろ」と、意味がわかったという次第です(^^;

この言葉を裏付けるように、『牛合芥抄』『山海経』『徒然草』『源平盛衰記』『国花万葉記』などには“鵺(ぬえ)が鳴く時に招魂の法を行う”という記述があります。招魂とは“死霊を呼ぶ”恐ろしい儀式のことです。しかし、なぜ鵺が鳴くときに招魂の儀式を行うのか。

それは鵺の鳴き声にあります。

ひょーぅ・・・ひょーぅ・・・と、まるで幽霊が口笛を吹いているような、そんな身の毛がよだつような鳴き声なんです。山の炭焼翁が、口笛を吹くと死霊や魔物が寄ってくる、と語ったように、鵺の鳴き声は口笛そのものだからでしょう。

この鵺についての話は古くからあって、たとえば・・・

源三位頼政の母の病が重かったとき。頭は猿、尾は蛇に似た鵺という妖怪が京都の紫宸殿に現れた。この妖怪の退治を頼政が命じられた。仁平3年4月7日。頼政は母から贈られた矢で鵺を射落とした。その夜、母も他界し、以来鵺は現れなくなった。退治された鵺は斬られて摂津の川尻へ流された。それが海を漂い頭は讃岐に、手足は阿波・土佐に、尻尾は伊予に着いた。その祟りで伊予には蛇神、讃岐には猿神、阿波・土佐には犬神がいる、というもの。

つまり、鵺は犬神、蛇神、猿神の大本ということです。ということは憑物筋といわれる家系の因縁が鵺にある、ということになります。

このとき鵺が射落とされた場所を鵺池といいます。その水際にある石が鵺石で、石垣で周りを囲んであります。そして鵺石にさわれば必ず祟りがあるとされ、太閤秀吉の頃も、この土地を人に与えることはしなかったとされています。

『和漢三才図会』によれば鵺は洛東などの深山に多く棲み、大きさは鳩ほど。黄赤色で鳶に似て昼は伏し、夜に活動するといいます。そのくちばしの上は黒く、下は黄色。ひゅうひいと鳴き、脚は黄赤色。しかし実際に聞こえる音は“ひゅうひい”ではなくプロペラが風を切る音を長く細く伸ばしたような、幽霊が登場するときの効果音に近い音です。

この音が、夜中、真っ暗な山中から聞こえてくるんですから、たまりません。知らずに聞くと、気味悪いどころか、ものすごい恐怖です。日が落ちて、そろそろ寝ようと思う矢先、どこからともなく、長く尾を引くようにして得体の知れない口笛が遠く近く聞こえてきて深夜の3時頃まで、聞こえては途切れ、途切れては再び聞こえる、ということが繰り返されます。これを聞いていると、なんだか別の世界から聞こえてくる、この世のものではない音に思えてしまいます。

この鵺の鳴き声を頻繁に聞くことができるキャンプ場があります。代表的なところだと、富士山・西湖のそばの“西湖テント村”です。ここは西湖から少し離れた、山に近い草地にあります。キャンパーも少なく、穴場的なキャンプ場で、僕は週末、ここで家族とのんびりするのが大好きです。ここで“鵺体験”をする夏キャンプも悪くありません。


西湖テント村(★★★)
・南都留郡足和田村西西湖4-11
・0555-82-2903(現地)
・0555-82-2003(管理人宅)
・GW~10月末
・オートフリー100台(草地)
・管理棟、炊事棟、トイレ、温水シャワー、自動販売機
※基本設備は一通り揃ってはいますが、基本的にシンプルなキャンプ場です。サイトの奥には森まで続く草地が広がっていて、ここを独り占めする気分は格別です。子供が思い切り走り回れる環境です。道の駅まで車で15分ほどですから、買い物も不自由しませんし、ちょっと走れば温泉もあります。裏の山に足をのばせば、そこには住む人のいなくなった、古い藁葺きの古民家がいくつも残されています。かつては、この山の麓に人々が住んでいた、ということがわかります。富士五湖周辺では希少な、昔話の里気分も味わえる、明るく、のびのびできるキャンプ場です。

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Posted by ユウ_zetterlund at 10:56│Comments(5)湖キャンプ
この記事へのコメント
捨てられた古民家があるなんて、すごいっすね。そっちのほうに興味あります。こんど富士山方面でキャンプするときに利用するかもしれないです。
Posted by 風 at 2007年06月04日 18:26
風さん>こんばんわ!山道に沿って、点々と残っている藁葺きの古民家を見ていると、昔話の世界に入っちゃったような不思議な気分になります。この古民家を移築したいな、と思っているんですが(^^;
Posted by ユウ at 2007年06月04日 23:47
ユウさんこのキャンプ場に行ってきました!
私的にはとても満足できるキャンプ場でしたよ(^^
あいにく鵺の鳴き声は聞くことができませんでしたが また行きたいなーと思う所なので次回に期待です
Posted by ボランチ at 2007年09月04日 21:53
こんなのもありましたなー
久々に発掘モードを楽しんどりまっす
古民家に興味ありなどと書いておきながら
行っていない小生であった(笑
Posted by 風 at 2007年09月10日 09:01
★ボランチ さん★
このキャンプ場の裏に伸びる細い道を進むと神々しいまでに澄んだ気配が満ちる神社があって、そのよこの山道沿いに、たくさんの藁葺き古民家が打ち捨てられているんです。これは一見の価値ありです。
Posted by ユウ at 2007年09月25日 02:07
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