青森・十和田湖【宇樽部キャンプ場】

ユウ_zetterlund

2007年04月26日 19:52



東北地方には本当に素晴らしいキャンプ場がたくさんあります。そして何よりもキャンプ場を包み込む森がブナなどの落葉広葉樹なんです。もちろん関東や西日本にも広葉樹の明るい森は無数にあります。しかし、これに較べても東北の森や山は原初のままの豊かさを維持しています。

樹種の分布は西では照葉樹林、東では広葉樹林という傾向です。椿のようにつやつやとした黒い葉を持つ照葉樹林や針葉樹林などに較べ、広葉樹の森はとても明るい。江戸期以降20世紀末までの日本では、杉の人工植栽によって、世界的に見ても日本特有の美しいブナの森は数を減らしてしまいました・・・
その反動がスギ花粉などという結果として現代の私たちにふりかかっているのですけれど・・・しかし、東北にはこうしたブナの豊な森が健在で、縄文時代より受け継がれた豊な自然の恵みを今でも私たちは享受することができます。

しかし東北方面は関東圏に住む僕にとって手軽に行ける場所ではありません。二日程度の休暇では、せいぜい宮城の“吹上高原キャンプ場”とか“とことん山キャンプ場”といったところ。

これ以上北の、たとえば薬研掘オートキャンプ場だとか竜飛崎、十和田湖・・・などはせめて現地でのんびりできる時間を考えれば最低でも4日以上は休暇が必要です。理想的には10日間なんですけど(笑)もう10年以上も前になりますが、そのころ勤めていた会社は夏に大型の休暇をとる傾向で、多くの海外スタッフは最低でも一ヶ月ほどの休暇をとって帰国してしましました。ですので、僕は、その当時に東北に出かけてあちこち放浪するようにしてキャンプを楽しんでいました。そして気に入ったキャンプ場のひとつが十和田湖「宇樽部キャンプ場」です。

キャンプ場までのアプローチであるブナに覆われ緑色に染まる国道は、富士山の山中湖の“ママの森”付近にそっくりです。

“宇樽部キャンプ場”のサイトは高台と湖畔の2ヵ所。僕は迷うことなく湖畔へと下りて、汀にテントを設営しました。しかし、風景を眺めるのであれば湖畔には下りず、上にテントを設営したほうがいいと思います。水場やトイレなどの施設は全て上。ということは湖畔だと調理やトイレなど、その都度上に登らねばならないので何かと不便です。この不便さは回数を増すごとにボディーブローのように効いてきます(笑)特に夜のトイレなんて、真っ暗闇の中ヘッドランプ頼りに滑りやすい土の斜面を登らねばなりませんから、けっこうキツイ。次回行
くとしたら、僕は迷わず上段です。

さて食材ですが、このあたりではいろいろと地方の名産が取り揃う。十和田に入る前に秋田で手に入れたのはきりたんぽ。袋に二十本ほど入って500円ほど・・・安いです。それに、なんとも手作りらしいいい焼き色。きりたんぽを現地で作ってもいいのですが、こんなのが売っていたら買うしかありません。

【セッテルンド流きりたんぽ】
1:米を炊く
2:焚き火をする(焚き火は後半の準備のため)
3:すり鉢で炊けた米をつぶす
4:適当な棒にほどよく潰れたご飯をちくわ状につける
5:焚き火のおきになった炭の周囲に、4を立てて焼く
6:焼く際に、適当に回して、全体に焼き色がつけば完成

焚き火を前に冷酒を飲みつつきりたんぽ鍋。酔いがほどよく五感を緩めるころ、自然に睡魔が。そのままテントに入り、僕は寝袋の上で一瞬で夢心地。白蛇が湖水を渡ってきたのはその直後でした・・・

まだ夜の闇が色濃く残る朝方のこと。湖水の彼方に何かがこちらに向かってくる小さな波紋が見えました。それはみるみる近付いて、目の前の砂浜へ姿を現したのは一匹の真っ白い蛇。うわ・・・と思ったのもつかのま、気がつけばテントの中。夢でした(^^;;

しかし、妙なリアル感をともなって、闇に浮かぶような白い姿態は目覚めた後も、ありありと残像として残っています。いろいろな神話やら昔話に出てくる神様の白蛇って、きっとあんな感じなんだろうな・・・と思いつつ、その夢が気になって仕方ありません。もしかして怨霊だったら嫌だなぁ・・・

そんな思いを抱きながら朝食の支度をしようとテントから顔を出す。目の前の十和田湖は波もなく、ゆらゆらと朝靄に包まれ神秘的でさえあります。まさに夢の光景と同じ。

この中を白い蛇が渡ってきたんだ・・・

そう思うと、何やら夢と現実の間境すら朧に思えてきます。

がさがさ・・・・

すぐ傍らの草がわずかに揺れました。ふと見ると、その中を一匹の大きな蛇がするすると動いています。ドキリとしました。僕はとっさに手ごろな石をつかむと、水際までの斜面を転がし蛇に注意を促します。蛇はその気配に驚いたのか、テントから遠ざかると、水際の大木の陰へと消えていきました。

しかし、実に不思議。夢の白蛇と、目の前の大蛇。こうした偶然の符合に古人は何やら因縁めいたものを感じ、物語を紡ぎ出していたのかもしれません。神秘的な十和田のキャンプ場だからこそ、なおいっそうこうした符丁に神秘性が増します。そういえばアラハバキ神を祭る神社も東北には残っています。もちろん全国的にアラハバキ神を祀る社はいくつもありますけれど・・・十和田の宇樽部キャンプ場は、こうした日本昔話が非常ににあう、数少ないキャンプ場であることは間違いありません。

最後に、ここはバンガローの古さや痛み方は許容できますがケビンだけはさすがにやめておいたほうがいいかもしれません。なにせ長屋風に棟割で二部屋がくっついているので、音のプライバシーはありません(^^; 

十和田湖「宇樽部キャンプ場」(★★★★☆ 4.5)
■ホームページ(http://www.oirase.or.jp/camp/camp.htm
■場所:青森県上北郡十和田湖町奥瀬字宇樽部16
■連絡
・管理棟 0176-75-2477(開設期間中・現地)
・観光推進課 0176-72-2311(通期)
■開設期間/7月1日~10月31日
■設備:キャンプ・テント200張・1,000名、コテージ7棟、ケビン8棟、バンガロー15棟、シャワー、トイレ(男女別水洗トイレ2ヶ所、紙あり)※シャワー、トイレは非常に綺麗です!
■入退場時間/入場15時~退場10時
■焚き火/ファイヤー場で可。薪あり(現地では焚火台を使用すればOKと言われました)
■料金:入場料 300円(1人)、デイキャンプ300円(1人)、持込テント 200円(1張り)、バンガロー (1250円(1棟)、ケビン 2050円(1棟)、コテージ 14000円(1棟)、駐車代 500円(1台1日)

【キャンプ場の評価基準:最高五つ★】
    (-1) ← 0 → (+1)
清潔度 (汚い・まあまあ・きれい)
自然度 (団地的・箱庭程度・自然充分)
快適度 (不快・どちらでもなし・快適)
静寂度 (都会の公園並・公園並・静か)
景観度 (不満・まあまあ・満足)
★---1point、☆---0.5point

地図はこちら


ロゴス(LOGOS) UVタープ4029


僕が使用しているのは下のスノーピークのレクタです。こうしたレクタは、天候や状況によって様々なバリエーションで張ることができます。このロゴスのレクタのようなカラーは最高です。曇りや雨でもサイトが明るくなります。夏場の晴天時では多少、暑さは否めませんが、木陰を利用すれば問題なし。もちろんUVですから・・・雨天に明かるいサイトって気分まで明るくなりますよ。


スノーピーク(snow peak) HDタープ レクタ L レギュラーセット


僕が十和田で使用したのはスノーピークの旧型レクタです。値段は高いですが、アイボリーはMOSSと同様のカラーリングでサイトも洗練されて見えます。ただ・・・全てを同じブランドで揃える、となるとどうも僕は賛成できませんけれど・・・しかし、こうしたレクタはポールが6本あるので重いですが、本当に自由にいろいろと張り方が変えられます。


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