新しいキャンプ車はSAABからジムニーへ

ユウ_zetterlund

2007年06月21日 19:11



ついに、というか、ようやく、と言うべきなのか。今まで好きだった北欧のサーブと決別して、ある車の契約をしてしまった。今までずーっと気になりっぱなしの車ではあったのだけれど、それでも乗っていたのはSAABばかり。

コルベット、アウディクワトロを経てクラシックサーブといわれる900ターボを手に入れた頃、趣味のロッククライミングにキャンプが加わった。もし車がコルベットのままであったなら、おそらくキャンプが趣味になることはなかっただろう。

つまり、僕にとってのキャンプ車はSAABだった・・・
これがSAAB900で出かけた富士山麓の朝霧高原にある、ジャンボリーオートキャンプ場。

SAABは軽く400リットルをオーバーするほどの積載能力を持っている。それは二代目SAAB9-3(ハッチバック)や昨年末に乗り換えた9-3Aero(スポーツセダン)でも同様で、絶品のシートやインテリアと相まって、SAABに乗り続ける理由にもなっていた。

これが二代目SAAB。9-3というモデルでハッチバックだった。緑に映えてとても美しかった。

SAABは森の緑によく映えた。しかし、BMWを意識しすぎた今の9-3Aeroは、これまでのSAABとは、どこか少し違った匂いを持っていた。ハイプレッシャーのターボと車高を落としたスポーツサス、18インチの扁平スポーツタイヤ、フルカウル・・・これは完全武装した走り屋向けの過激なモデルにほかならない。

そして、これが半年前に手に入れた9-3Aero。つい先日、ディーラーに買い取ってもらった・・・嫌いではなかっただけに少し淋しい・・・この半年間、一度もすれ違わなかったほど数少ない車でもあった。

1500キロの車重に300250馬力近いパワー。それ以上に化け物のような比類ないトルクで、中央道の談合坂手前の登坂路では、90キロ巡航からちょっとアクセルを踏むだけで、SAAB特有のキーンというターボサウンドを伴なって、身体がシートに強烈に押し付けられる激しい加速で、たちまち驚くような速度に達してしまう。

飛行機の離陸時よりはるかに強い、めまいさえ感じてしまうほどの強烈な加速Gが襲いかかる。これはこれで快感なのだが、僕が求めている“何か”とは違った。その何かがわからぬまま半年が経過した。

そして相変わらず、大きなトランクにキャンプ道具を詰め込んで、あちこちキャンプしたり、あるときはザイルにヘルメット、登攀道具一式を載せて雪山や岩場に車を走らせた。そして、回を重ねるごとに、車と僕の気持ちとの間の距離が離れていくようだった。それは一抹の寂しさのような、苛立たしさのような・・・どこか満たされない不思議な気持ちだった。

ところが先日、道志道を走っているときに、ふとすれ違った一台の車を目にした瞬間、まるで後光が差したように目の前がパッと明るくなり、今までのモヤモヤが消し飛んだ。僕が乗りたかったのはアレなんだ、とはっきりと確信できた瞬間だった。

その車とは“スズキ・ジムニー”(^^♪

なぜ?、今さら軽に?と自問を繰り返し、同じ乗るならトゥアレグ、ランドクルーザー、パジェロ、X5など他にもあるじゃないか、と思い、ディーラーでそれらに試乗。それぞれ、みな素敵な車だったけれど、やはりスズキで試乗したジムニーの楽しさ、愉快さにはかなわなかった。

だって運転していると、自然にニコニコ笑顔になっているんだもの。世間体とか見栄とか高級とか、そんなものとは無縁で、小さくて、頼もしくて・・・しかし、そんな理屈はどうでもよくて、ただ純粋にとっても楽しかった。ほんとうにオモチャみたいに楽しい車。

天気がいいのもあったのかもしれないが、自転車に乗って近所の森を走り回った、子供時代の夏休みを思い出してしまった。結局、試乗してその場で契約をしてしまった。タイプはジムニーのランドベンチャー(黒)。これにオーディオとETCとそのほかラフロード向けのかっこいいオプションをいろいろつけてもらった。

自宅に戻ると、さっそくSAAB 9-3 Aeroの売却をディーラーに連絡。買取価格を計算してもらったら、その金額で充分にジムニーが買えてお釣りが来る。まあ、半年しか乗っていないし、価格もジムニーより高かったから当たり前なんだけれど・・・しかし、これは早計だったかもしれない。なぜならSAABはそのままに、ジムニーを追加すればよかったのだ。あまりにもワクワクしすぎて、そこに考えが至らなかった・・・

しかし、そんな小さなことは、この際放っておいても構わない。今僕に必要なのは、どんな悪路でも入れて、後席の片方を倒せば充分にキャンプ道具が詰め込めて、自分が車を支配して運転の楽しみが味わえるキャンプ車なんだ。高速道路だって、今まではガンガン飛ばしていたけれど、そろそろ100キロ以内でのんびり走るのもいいではないか。

場合によってはVWのヴァナゴンのような、本当に古い車でもよかった。あるいは日野コンマースのようなものでも。とにかくジムニーには、パワーとか排気量とか、そんなスペックよりも、数字にできない“何か”がぎっしりと詰まっていた。

生産は7月10日とのことで、納車されるのは7月下旬。先日の契約以来、長らく忘れていた子供のときのワクワク感が蘇ってしまった(^^ 

まあ、これで支障がでれば、そのときはそのとき。いずれ快適な車を買うことにならないとは断言できないけれど、当分はジムニーだけで充分。それにメイドインJAPANの車が欲しかった、ということもあるけれど・・・とにかくジムニーは宝物として一生付き合っていけそうな気がする。

まず最初に出かけるのは・・・物理的に行きたくても行けなかった、丹沢の未舗装・戸川林道のいちばん奥の秘密のキャンプサイトだ。途中悪路と車一台が通るのもやっとという道を奥へ奥へと入って行く。最後に、大きな段差があって、その先の河原はキャンプ可能。とてもじゃないがランドクルーザーなんかでは危なっかしくて行きたくはない。

当然、付近にはトイレも水場もある、まさに最高の場所。おまけにキャンプ場ではないから、とうぜん無料。今まで行きたかったのだけれど、車が心配で踏み込めずにいたけれど、ジムニーなら難なく連れて行ってくれるはずだ。

それと・・・先頃閉鎖された蓼科・美ヶ原の鎌ケ池キャンプ場。ここもアプローチはダートの幅2メートルちょっとの細道。枯れ木の枝が突き出していたり、折れた木の幹があちこちで細道を塞いでいたりするけれど、ジムニーなら問題なし。

経営していたのは老いたご夫婦。もしも交渉が成立すれば、そのときは秘密のキャンプサイトに仲間入りすることになる。閉鎖されて通る車もないだろうから、細いダートは、かなり荒れているに違いない。

願わくば、こんな奥の細道のような先に広がる夢の世界へ、ジムニーに連れて行ってもらいたい・・・いや、必ず連れて行ってくれるはず・・・なにがなんでも連れて行かせる(^^。月日とともに蓄積しつつあった“行きたくても行けない場所”。車幅がそこそこあるうえ、床下クリアランスの無いSAAB9-3Aeroに乗っていて感じた寂しさの原因のひとつは、きっとこんなところにもあったのだろう。

こんなことを書いている今も、気がつけばニヤニヤとしている。新しいキャンプ車は、うるさい、遅い、ジムニーだけど、なんだか夏休みを前にした子供のような気分だ(^^)

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