鬼とキャンプ【吹上高原キャンプ場】

ユウ_zetterlund

2007年06月26日 23:24



東北にはほんとうに素晴らしいキャンプ場が山ほどあります。その素晴らしいキャンプ場のひとつが宮城県と山形県のほぼ中間に位置する鬼首温泉郷にある吹上高原キャンプ場。

そもそも、鬼首の名の由来は、東夷とされていたこの地の人々の族長であった人物“大竹丸”を征夷軍である坂上田村麻呂らが“鬼”と恐れ呼んだことにあります。

時は延暦二十年(801年)。大竹丸は、この地に東征した坂上田村麻呂と激戦の末首をはねられてしまう。その場所は、吹上高原キャンプ場から程近い、片山地獄の奥。谷間のいたるところから蒸気が噴出し、流れる沢は温かい湯。当初、この地は鬼切辺と呼ばれたが、後に鬼首に変わったと伝わっています・・・
吹上高原キャンプ場は、古代の激戦地に位置するわけですが、いまでは周囲の山から吹き降ろす風が、キャンプ場内外の赤松林を静かに吹き抜けています。

このエリアには、鬼首発電所もあって、ここの地熱を利用して発電しています。

これはキャンプ場を入ってすぐの景色です。広いですね~!この正面サイトは風が非常に強い場所。いっぽう、ちょっと裏に回れば、そこは不思議と風がありません。天気図を眺めて、もしも風が吹きそうであれば、無風地帯に設営するのがいいと思います。ここは、時に山鳴りを伴なう強風が吹きます。

さて、キャンプ場は見渡す限りの草原で、どこにサイトを作ろうか、毎回悩んでしまうほど。僕は、ペットがいるので、一番奥の奥。だだっ広いので、もしもの落雷の予防で、木から必ず2メートル以上は離れた場所にテントを設営します。もしも木に落雷があっても、これなら側撃を免れやすいため。
※木の頂点より45度の角度で線を地面に下し、その範囲内は危険地帯となります。しかし、今までの落雷事例を調べると、木より2メートル以上離れた場所での被害はありませんから、目安は2メートルと考えてます。

それに木の下にテントを設営してしまうと、雨が上がっても、いつまでも雫がポタポタと絶えず落ちてきたり、時には毛虫まで・・・ この雫のように、テントの同じ箇所に垂れ続けるとその箇所の防水性能の低下にもつながります。

これはキャンプ場裏側。このあたりが僕のいつもの低位置です。

キャンプ場を見渡すと、赤松が多いことに気付くと思います。さらに、キャンプ場の外周を歩くと、そこも全て赤松林。松は明るい場所を好み、乾燥地や岩場でも根付きます。松は肥沃を好まぬ、という言葉もありますが、これは肥沃になると別の樹種にとって変られてしまうためです。

これはキャンプ場外に広がる赤松林。松林特有の明るさがありますね。

この地に赤松が多いというのは、はるか昔より、この地に人の営みがあったことを想像させてくれます。人は芝や落ち葉、堆肥を求めて林や山に入る。すると土地が痩せて松が種を増やす環境になる、という連鎖です。松林は人に堆肥を提供し、人はせっせとそれを運び出す。そのご褒美がマツタケなのかもしれません。

外周を歩いていて、もうひとつの発見は、水路から一様に湯気があがっている、ということ。これは、キャンプ場外周だけでなく、間欠泉に向かう林道も、下に通じる道も、横を流れる水はことごとくお湯でした。さすが、温泉キャンプが堪能できるだけのことはあります。

ほら、こんな感じで、あちこちからモクモクと湯気があがってます

さて、この吹上高原キャンプ場の正面には、荒尾岳方面へ通じる林道があります。僕はキャンプ場に着くと、その周囲を歩き回るのが大好きです。林道を歩くと徐々に勾配がきつくなり、ついにはキャンプ場を見下ろす場所にでます。5月の吹上高原キャンプ場の周辺の山々はまだ雪をかぶっています。太平山や大倉山のはるか麓に吹上高原キャンプ場は小さく見えます。

正面の山の下が吹上高原キャンプ場です。

この付近の巨大な山桜の根元には、年経た山の神の祠があります。いつ祀られたのかは不明ですが、成長の遅い山桜の幹から考えて江戸時代には、すでにあったのかもしれません。

この高みより、下の森を眺めると、実に面白い光景が見られます。森のいたるところから白い湯気が立ち昇っているんです。この湯気はたぶん全て温泉でしょう。片山地獄のような蒸気が、あ
ちこちから立ち上っている光景は圧巻です。

僕は、吹上高原キャンプ場に来ると、必ず山の神に詣で、キャンプ場を見渡せる場所で小一時間ほどのんびりします。気が向けば、そのままあちこちの散策路を歩き回り荒尾湖畔公園まで足を伸ばすこともあります。この公園はキャンプもできる場所で、もちろん無料。登山者のテントを時折見かけます。


吹上高原キャンプ場【★★★☆ 3.5】

■場所:宮城県大崎市鳴子温泉鬼首本宮原23-38
■電話:0229-86-2493
■期間:4月中旬~11月下旬
■サイト:フリーサイト400張り以上(草地)
■IN/OUT:9:00~17:00 /13:00まで
■料金:車1台500円+大人700円、子供500円、環境整備費1人50円
  ※2泊目以降は半額(大人350円、子供250円)
■施設:ショップ、自動販売機、コインランドリー、BBQガーデン、 ロッジ(鬼首ロッジ)、 ビアレストラン(鳴子の風)、スパ(鬼首の湯)、トイレ(水洗、紙有)、炊事棟
■アクセス:東北道「古川IC」から国道47号経由、国道108号で鬼首方面へ。

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