2009年06月26日
老人と海
九十九里浜に通じる松林の小道にて
” 結局のところ、彼もサンチャゴなんだ・・・”
老人の小さな背中を見ながら、ボクはそう思った。
派手なキシミ音をさせながら現れた年代物の車から降りたのは一人の小柄な老人だった。車はおそらくエアコンなどというものは備えていないのだろう。風を入れる三角窓が目立つ、古いけれどずいぶん大切に乗られているのがひとめでわかるフランス車。小豆色のボディにクリーム色がアクセントになっている趣味のいいカラーリングだ。
その老人も、着古し身体に馴染んだブルーグレーのシャツに、これまた柔らかく着古されたカーキ色のパンツを身につけている。まるでつい今しがたまで乗っていた年代物のフランス車のようだ。悪くない。
老人はクーラーボックスと釣竿を誇りっぽい地面に無造作に置いて、てきぱきと釣りの準備をしている。その無骨な皺が刻まれる陽に焼けた顔に、媚(こび)とか愛想笑いとか、そういった一切とは縁のなかったような目があった。
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Posted by ユウ_zetterlund at 13:43│Comments(0)
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